内装工事と修繕工事の違いとは|費用・負担区分・賃貸経営での使い分け
「内装工事」と「修繕工事」は似た場面で使われますが、目的も費用負担者も異なります。本記事では、賃貸経営の視点から両者の定義の違い、誰が費用を負担するのか、費用相場、依頼の流れまで分かりやすく解説します。年間9,787件の退去対応実績を持つスム住むが、実務目線でお伝えします。
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内装工事と修繕工事の定義の違い
結論からいうと、修繕工事は「壊れたもの・劣化したものを元の機能に戻す工事」、内装工事は「室内の仕上げや設備に手を入れる工事全般」を指します。修繕工事が「マイナスをゼロに戻す」工事であるのに対し、内装工事にはデザイン変更やグレードアップのように「ゼロをプラスにする」工事も含まれる、と整理すると分かりやすいでしょう。
内装工事とは
内装工事とは、壁紙(クロス)や床材の張替え、建具の交換、水回り設備の更新など、室内の仕上げ・機能に関わる工事の総称です。劣化した箇所を直す目的で行うこともあれば、アクセントクロスの追加や床材の変更など、部屋の印象を良くして入居付けを有利にする目的で行うこともあります。賃貸経営においては、募集戦略と結びついた「攻めの工事」として使われる場面が多いのが特徴です。
修繕工事とは
修繕工事とは、経年劣化や故障によって不具合が生じた建物・設備を、本来の機能が使える状態に戻す工事です。給湯器やエアコンの交換、水漏れの補修、建て付けが悪くなったドアの調整などが代表例です。民法では、賃貸物の使用に必要な修繕は貸主が行うのが原則とされており(民法606条)、賃貸経営を続けるうえで避けて通れない「守りの工事」といえます。
原状回復工事との関係
両者と混同されやすいのが原状回復工事です。原状回復工事は、入居者の退去時に、借主の故意・過失による損傷を回復し、次の入居者を迎えられる状態に戻す工事を指します。実際の現場では、退去後に原状回復工事・修繕工事・グレードアップのための内装工事を同時に行うことが多く、明確に線引きされないまま一括で発注されるケースも珍しくありません。3つの違いを表で整理します。
| 項目 | 内装工事 | 修繕工事 | 原状回復工事 |
|---|---|---|---|
| 主な目的 | 室内の仕上げ・機能の更新、価値向上 | 不具合の解消、機能の回復 | 退去後に次の入居者を迎えられる状態へ戻す |
| 実施タイミング | 空室期間中・リニューアル時など任意 | 不具合発生時(入居中も含む) | 退去後 |
| 代表的な工事 | クロス張替え、床材変更、設備グレードアップ | 給湯器・エアコン交換、水漏れ補修、建具調整 | 損傷箇所のクロス・床補修、ハウスクリーニング |
| 費用負担者 | 原則オーナー(貸主) | 原則オーナー(借主の過失が原因なら借主) | 通常損耗・経年変化は貸主、故意・過失分は借主 |
費用負担者の違い——貸主負担と借主負担の区分
工事の種類によって「誰が費用を負担するか」が変わる点は、賃貸経営で最も押さえておきたいポイントです。物件の価値を高めるための内装工事や、経年劣化に対する修繕工事は、基本的にオーナー(貸主)の負担です。一方、入居者の使い方が原因で生じた損傷の回復費用は、借主に請求できる場合があります。
この線引きの基準となるのが、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(再改訂版・2011年8月)です。さらに2020年4月施行の改正民法621条で、賃借人は通常の使用による損耗と経年変化について原状回復義務を負わないことが明文化されました。具体的な負担区分の例を表にまとめます。
| 損耗・不具合の例 | 性質 | 費用負担者 |
|---|---|---|
| 日照による壁紙の変色、家具の設置跡、画鋲の穴程度 | 経年変化・通常損耗 | 貸主(オーナー) |
| 給湯器・エアコンなど設備の寿命による故障 | 経年劣化(修繕工事の対象) | 貸主(オーナー) |
| 募集力を高めるためのアクセントクロス・設備グレードアップ | 価値向上(内装工事) | 貸主(オーナー) |
| タバコのヤニ・臭い、ペットによる傷 | 善管注意義務違反等 | 借主(入居者) |
| 結露を放置して拡大したカビ、飲みこぼしのシミ | 故意・過失による損耗 | 借主(入居者) |
借主負担となる場合でも、注意点が2つあります。1つ目は経過年数の考慮です。壁紙(クロス)やクッションフロアの耐用年数は6年とされ、6年経過すると残存価値は1円まで下がるため、入居年数が長いほど借主の負担割合は小さくなります。2つ目は負担範囲で、損傷箇所を含む最小施工単位(壁1面分など)が原則です。部屋全体の張替え費用を全額請求するのは不当とされるケースがあります。
なお、ハウスクリーニング特約など通常の原状回復義務を超える負担を借主に課す特約は、義務の内容が具体的に明記され、借主がそれを認識して合意している場合に有効とされています。負担区分の詳しい考え方は原状回復ガイドライン完全解説をご覧ください。
賃貸経営での使い分け——空室対策と資産価値維持
賃貸経営では、修繕工事と内装工事を「いつ・どこまでやるか」の判断が収益を左右します。場面ごとの使い分けを整理します。
退去のたびに行う原状回復+修繕
退去後は、原状回復工事とあわせて設備の点検・修繕をまとめて行うのが効率的です。入居中には手を入れにくい給湯器や水回りの状態を空室のタイミングで確認し、寿命が近い設備は先回りして交換しておくと、次の入居中に故障対応へ追われるリスクを減らせます。工事を一括で行えば職人の手配や養生も一度で済み、空室期間の短縮につながります。
空室が長引くときの内装グレードアップ
原状回復だけでは決まらない部屋には、内装工事による差別化が有効です。アクセントクロスの採用、古い床材からクッションフロアへの変更、照明の交換など、比較的少額の工事でも内見時の印象は大きく変わります。周辺の競合物件と比べて見劣りする箇所から優先的に手を入れると、費用対効果を高めやすくなります。
入居中修繕はスピードが命
入居中に発生する給湯器の故障や水漏れなどの修繕は、対応の速さが入居者満足度に直結します。対応が遅れると不満が蓄積し、退去の引き金になることもあります。スム住むは原状回復工事だけでなく入居中修繕にも対応しており、最短即日で駆けつけ可能な体制を整えています。日頃から修繕を依頼できる工事会社を確保しておくことは、退去率を抑える意味でも重要です。
内装工事・修繕工事の費用相場
内装工事・修繕工事の費用は「工事単価 × 施工面積(数量)」で決まるのが基本です。スム住むの工事単価(税込・目安)を一覧でご紹介します。
| 工事内容 | 単位 | 料金(税込・目安) |
|---|---|---|
| 壁紙(クロス)張替え | ㎡ | 800円〜1,200円 |
| フローリング張替え | ㎡ | 4,500円〜8,000円 |
| クッションフロア張替え | ㎡ | 2,500円〜3,500円 |
| 畳表替え | 畳 | 5,000円〜8,000円 |
| 襖張替え | 枚 | 3,500円〜6,000円 |
| エアコンクリーニング | 台 | 8,000円〜12,000円 |
| ハウスクリーニング(1R〜1K) | 式 | 25,000円〜35,000円 |
| ハウスクリーニング(1LDK〜2DK) | 式 | 40,000円〜55,000円 |
| 退去立会代行 | 回 | 完全無料(原状回復工事をご依頼の場合) |
たとえば6畳の居室(壁・天井の面積で約30〜40㎡)のクロスを全面張替えする場合、単価800円〜1,200円/㎡で計算すると約2.4万円〜4.8万円が目安になります。このように単価と面積が分かれば、見積書の妥当性を自分で概算チェックできるようになります。
退去後にまとめて工事を行う場合は、間取り別のパッケージ料金(ワンルーム45,000円〜・工期1日など)もご用意しています。詳細は料金表と原状回復工事の費用相場をご覧ください。
依頼の流れ——問い合わせから引き渡しまで
スム住むに内装工事・修繕工事をご依頼いただく場合の基本的な流れは次の5ステップです。
- お問い合わせ——お電話(03-6823-8610・平日9:00〜18:00)またはお問い合わせフォームから、物件の所在地と工事内容の概要をお知らせください。関東7県(東京・神奈川・埼玉・千葉・群馬・茨城・栃木)全域に対応しています。
- 現地調査・お見積もり(無料)——現地を確認し、必要な工事内容と数量を精査したお見積もりをご提示します。お見積もりは無料、最短即日で対応します。
- 内容のご確認・ご発注——工事範囲・仕様・工期をご確認いただき、ご納得のうえでご発注ください。退去精算に関わる工事の場合は、貸主負担・借主負担の区分が分かる形で内訳を整理します。
- 施工——日程を調整のうえ施工します。原状回復+修繕+内装グレードアップをまとめて行う場合も、工程を一括管理して無駄のないスケジュールで進めます。
- 完了確認・お引き渡し——仕上がりをご確認いただき、お引き渡しとなります。募集開始のタイミングから逆算した工期のご相談も可能です。
退去に伴う工事の場合は、退去立会いの代行から工事までワンストップでお任せいただけます。原状回復工事をご依頼いただく場合、退去立会代行は完全無料です。詳しくは退去立会代行 完全ガイドをご覧ください。
業者選びのポイント
内装工事・修繕工事の依頼先を選ぶ際は、次の4点を確認しましょう。
- 賃貸物件の施工実績が豊富か——賃貸の工事は「かけた費用を家賃収入で回収できるか」の視点が不可欠です。持ち家向けリフォームとは判断基準が異なるため、賃貸専門の実績を確認しましょう。
- 見積書の内訳が明確か——「内装工事一式」のような大づかみの見積もりではなく、工事項目ごとに単価と数量が明記されているかを確認します。単価が分かれば相場との比較も容易です。
- 原状回復ガイドラインを理解しているか——退去精算に関わる工事では、貸主負担と借主負担を正しく区分できる業者でないと、入居者とのトラブルの火種になります。
- 対応スピードと対応範囲——入居中修繕は速さが命です。また、立会い・原状回復・修繕・内装までまとめて任せられる業者なら、窓口が一本化されて管理の手間が減ります。
より詳しい選び方のチェックリストは原状回復業者の選び方で解説しています。
よくある質問
Q1. 内装工事と修繕工事のどちらで依頼すればよいか分かりません。どうすればよいですか?
A. 呼び方を厳密に区別してから依頼する必要はありません。「壁紙が剥がれている」「給湯器の調子が悪い」「退去後の部屋をきれいにしたい」など、現状と目的をそのままお伝えいただければ、現地調査のうえで必要な工事を判断し、内容ごとに分けたお見積もりをご提示します。スム住むでは見積もりは無料で、最短即日で対応いたします。
Q2. 退去時の原状回復工事と内装工事は同時に依頼できますか?
A. はい、同時にご依頼いただけます。退去後の原状回復工事に合わせて、老朽化した設備の修繕やアクセントクロスの追加などの内装工事をまとめて行うと、職人の手配や養生が一度で済むため、別々に発注するよりも工期を短縮でき、空室期間の圧縮につながります。次の募集条件に合わせたご提案も可能です。
Q3. 修繕にかかった費用は入居者(借主)に請求できますか?
A. 損耗の原因によって異なります。国土交通省の原状回復ガイドラインでは、経年変化や通常の使用による損耗の回復は貸主負担、故意・過失や善管注意義務違反による損傷の回復は借主負担とされています。借主負担となる場合も、壁紙は耐用年数6年で残存価値が考慮されるほか、負担範囲は損傷箇所を含む最小施工単位が原則です。個別のケースは契約書の特約内容も含めて確認が必要です。
まとめ
内装工事は室内の仕上げ・機能に手を入れる工事の総称で、価値向上を目的とした工事も含みます。修繕工事は不具合を元の機能に戻す工事で、原則としてオーナー負担です。退去時の原状回復では、通常損耗・経年変化は貸主、故意・過失による損傷は借主という区分が原状回復ガイドラインの基本原則です。
賃貸経営では、退去のタイミングで原状回復・修繕・内装グレードアップをまとめて計画すると、コストと空室期間の両方を抑えやすくなります。工事の呼び方に迷ったら、現状と目的をそのまま業者に伝えて判断を仰ぐのが近道です。
内装工事・修繕工事のご相談はスム住むへ
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