退去時ハウスクリーニングの費用相場と
クリーニング特約の有効性
「退去時のクリーニング代は払わないといけないの?」「相場より高くない?」——
年間9,787件の退去対応実績を持つスム住むが、負担のルールと適正価格を解説します。
退去時のハウスクリーニング費用は原則誰が負担するのか
結論から言うと、次の入居者を迎えるための一般的なハウスクリーニング費用は、原則として貸主(オーナー)負担です。国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、賃借人が通常の住まい方をしていて生じる損耗(通常損耗)や経年変化の回復費用は、賃料に含まれているという考え方が示されています。
さらに2020年4月施行の改正民法621条により、賃借人は「通常の使用収益によって生じた損耗」と「経年変化」について原状回復義務を負わないことが法律上も明文化されました。つまり、普通に暮らして普通に汚れた分の清掃費用まで、借主が当然に支払う義務はないのが原則です。
それでも実際の退去精算でクリーニング費用が請求されるのは、多くの賃貸借契約書に「退去時のハウスクリーニング費用は借主負担とする」というクリーニング特約が盛り込まれているためです。この特約は一定の条件を満たせば有効とされるため、「原則は貸主負担。ただし有効な特約があれば借主負担」という二段構えで理解するのが正確です。
したがって退去時にまず確認すべきは、①契約書に特約があるか、②その特約が有効といえる内容か、③請求額が相場から乖離していないか、の3点です。次章から順に見ていきましょう。原状回復全体のルールは原状回復ガイドライン完全解説で詳しく紹介しています。
クリーニング特約が有効とされる条件
クリーニング特約は、契約書に書いてあれば無条件に有効というものではありません。ガイドラインでは、通常の原状回復義務を超える負担を借主に課す特約が有効とされるためには、「賃借人が負う義務の内容が具体的に明記され、通常の原状回復義務を超える負担を課すことを認識し、義務負担の意思表示をしている」ことが必要とされています。整理すると次の3点です。
- 義務の内容が具体的に明記されていること——「クリーニング費用一式」のような曖昧な記載ではなく、負担する範囲や金額(例:ハウスクリーニング費用として○○円)が特定できること
- 通常の原状回復義務を超える負担であることを借主が認識していること——本来は貸主負担の費用を、特別に借主が負うのだと理解できる説明・記載があること
- 借主が義務負担の意思表示をしていること——内容を理解したうえで署名・捺印など合意の意思を示していること
実務上とくに重要なのが1つ目の「具体的な明記」です。金額や単価の記載がない特約、範囲が不明確な特約は、退去精算の場面で有効性が争われるケースがあります。逆に「退去時ハウスクリーニング費用として○万円(税込)を借主負担とする」のように金額まで明記され、契約時に説明を受けて署名していれば、有効と判断されやすくなります。
入居者の方は、退去通知を出す前に契約書の特約条項を読み返し、金額・範囲の記載を確認しておきましょう。管理会社・オーナー様にとっても、特約を具体的に整備しておくことは退去トラブルの予防に直結します。請求に納得できない場合の交渉手順は原状回復トラブル対処法をご覧ください。
退去時ハウスクリーニングの料金相場(間取り別)
請求額が適正かどうかを判断するには、相場を知ることが欠かせません。スム住むが関東7県(東京・神奈川・埼玉・千葉・群馬・茨城・栃木)で提供している退去時ハウスクリーニングの料金目安は次のとおりです。
ポイントは、エアコンクリーニングは通常のハウスクリーニング一式とは別料金になるのが一般的という点です。退去精算書で「ハウスクリーニング+エアコン洗浄」が分かれて計上されていても、それ自体は不自然ではありません。一方、同じ項目が重複して計上されていないか、間取りに対して極端に高くないかは確認が必要です。
なお、クロス張替えや床の補修など工事を伴う場合の費用は原状回復の費用相場と料金表で間取り別・工事単価別に公開しています。クリーニング単体か、工事込みの原状回復かで総額は大きく変わるため、見積書はセットで確認しましょう。
借主負担になる汚れ・ならない汚れの線引き
クリーニング特約とは別に、「善管注意義務違反」による汚れ・損耗の回復費用は、特約がなくても借主負担となるのが原則です。善管注意義務とは、借りた部屋を常識的な注意を払って使う義務のこと。掃除を怠って汚れを放置した場合などがこれに当たります。ガイドラインの考え方に沿った代表例を整理します。
借主負担となる場合でも、「善管注意義務違反箇所を含む最小施工単位」が原則です。たとえば壁の一部にシミを作ってしまった場合、負担の対象は壁1面分などが基本で、部屋全体の張替え費用を全額請求されるのは不当なケースがあります。
また、壁紙(クロス)やクッションフロアには耐用年数6年という経過年数の考え方があり、長く住むほど借主の負担割合は小さくなるのが原則です(6年で残存価値1円)。クリーニング費用そのものには経過年数の考え方は直接適用されませんが、汚損に伴う張替え費用が併せて請求されている場合は必ずチェックしたいポイントです。
自分で掃除すべきレベルと業者に任せる領域
「退去前にどこまで掃除すればいいのか」は非常に多いご質問です。まず前提として、有効なクリーニング特約がある場合、自分でどれだけ掃除しても特約に基づく費用は発生するのが一般的です。ピカピカに磨き上げても特約分が免除されるわけではありません。
それでも退去前の掃除に意味があるのは、「汚れの放置=善管注意義務違反」と評価されて特約以上の追加費用を請求されるリスクを減らせるからです。つまり目指すべきは「業者仕上げレベル」ではなく、「日常の手入れを怠っていないと分かるレベル」。場所ごとの目安を整理します。
特に見られやすいのは、キッチンの油汚れ、浴室のカビ、エアコンフィルターのホコリ、ベランダの放置ゴミです。退去立会の当日までにこのレベルを済ませておくと、立会時の印象も精算内容も大きく変わります。立会の流れは退去立会代行 完全ガイドで詳しく解説しています。
高額請求を防ぐ退去立会時のチェックポイント
クリーニング費用をめぐるトラブルの多くは、退去立会と精算書の確認不足から生まれます。入居者・管理会社のどちらの立場でも、次の5点を押さえておくと精算がスムーズです。
- 契約書の特約条項を事前に読み返す——金額・範囲の記載があるか、契約時に説明を受けたかを思い出しておく
- 見積書・精算書は項目別の内訳をもらう——「クリーニング一式」だけでなく、ハウスクリーニング・エアコン洗浄・補修工事が分かれているか確認する
- 汚れ・傷は写真で記録する——立会時にスマートフォンで日付入りの写真を残し、認識の食い違いを防ぐ
- 負担範囲は「最小施工単位」かを確認する——一部の汚損で部屋全体分を請求されていないか見る
- その場で全てにサインしない——金額に納得できない項目は持ち帰り、根拠の説明を求めてよい
敷金がある契約では、改正民法622条の2により、賃貸借契約の終了と物件の返還後、未払賃料等を差し引いた残額を返還することが明文化されています。クリーニング費用が敷金から差し引かれる場合は、精算書の金額と根拠を必ず確認しましょう。敷金精算の書式は敷金精算書の書き方・テンプレートで無料配布しています。
スム住むでは、原状回復工事をご依頼いただく場合、退去立会代行を完全無料で承っています。管理会社・オーナー・入居者の三者に透明性の高い退去プロセスを重視しており、その場で内訳の分かる説明を行うため、クリーニング費用をめぐる「言った言わない」を防げます。
よくある質問
Q1. 自分で徹底的に掃除すれば、クリーニング費用は請求されませんか?
有効なクリーニング特約が契約書にある場合は、ご自身で掃除をしても特約に基づく費用は請求されるのが一般的です。ただし、丁寧に掃除しておくことで、油汚れやカビの放置といった善管注意義務違反を理由とする追加請求を防ぐ効果は十分にあります。まずは契約書で特約の有無と内容を確認することをおすすめします。
Q2. 契約書のクリーニング特約に金額が書かれていません。支払う必要はありますか?
国土交通省のガイドラインでは、特約が有効とされるには、賃借人が負う義務の内容が具体的に明記され、通常の原状回復義務を超える負担を課すことを認識したうえで、義務負担の意思表示をしていることが必要とされています。金額や単価の記載がない特約は、有効性が争われるケースがあります。まずは管理会社に根拠の説明を求め、見積書の内訳と併せて確認しましょう。
Q3. 退去時のハウスクリーニング費用はいくらくらいが目安ですか?
スム住むの料金目安では、1R〜1Kで25,000円〜35,000円、1LDK〜2DKで40,000円〜55,000円(いずれも税込・一式)です。エアコンクリーニングは1台あたり8,000円〜12,000円が別途の目安となります。2LDK以上は広さや汚れの程度により変動するため、無料見積もりをご利用ください。
まとめ
退去時のハウスクリーニング費用は、通常損耗・経年変化の分については貸主負担が原則です。ただし、金額まで具体的に明記され、借主が内容を理解して合意したクリーニング特約は有効とされるため、実務では借主が負担するケースが広く見られます。相場の目安は1R〜1Kで25,000円〜35,000円、1LDK〜2DKで40,000円〜55,000円。エアコンの内部洗浄は別途1台8,000円〜12,000円が目安です。
退去前の掃除は「業者レベル」を目指す必要はありませんが、油汚れ・カビ・ホコリの放置は善管注意義務違反として追加負担につながるおそれがあります。日常の手入れが分かる状態に整え、立会では内訳と写真で根拠を残す——これが余計な出費を防ぐ最短ルートです。
退去時クリーニング・原状回復のご相談はスム住むへ
見積無料・最短即日対応。原状回復工事のご依頼で退去立会代行は完全無料。
お電話でのご相談:03-6823-8610(平日9:00〜18:00)
無料見積もりを依頼する