賃貸退去の流れ完全ガイド|解約通知から敷金精算まで
賃貸の退去は「解約通知 → 荷物搬出 → 退去立会い → 鍵返却 → 敷金精算」の5ステップで進みます。
年間9,787件の退去対応実績を持つスム住むが、費用相場・チェックリスト・立会いの注意点まで分かりやすく解説します。
賃貸退去の流れ|5つのステップと全体スケジュール
賃貸物件の退去は、大きく分けて「①解約通知 → ②荷物の搬出・掃除 → ③退去立会い → ④鍵の返却 → ⑤敷金精算」という5つのステップで進みます。最初の解約通知から敷金の返還までは、おおむね1〜2ヶ月かかるのが一般的です。
退去でトラブルになりやすいのは、解約通知の遅れによる余分な家賃の発生と、退去立会いでの原状回復費用の負担をめぐる認識のズレです。全体のスケジュールを最初に把握しておくと、慌てずに準備を進められます。
以下では、それぞれのステップで「いつ・何を・どう」すればよいのかを順番に解説していきます。
解約通知(退去連絡)は1ヶ月前が一般的
退去の最初のステップは、管理会社または大家さんへの解約通知です。居住用の賃貸借契約では「退去日の1ヶ月前まで」に通知するという契約が一般的ですが、物件によっては2ヶ月前と定められていることもあります。まずは賃貸借契約書の「解約予告」「解約通知」の条項を必ず確認してください。
通知が遅れると家賃が余分にかかる
解約予告期間は「通知した日から起算」されるのが基本です。たとえば1ヶ月前予告の契約で、引越し日の2週間前に通知した場合、実際に住んでいなくても通知から1ヶ月分の家賃支払いが必要になるケースがあります。引越しの日程が決まったら、できるだけ早く連絡するのが鉄則です。
通知の方法と伝えること
通知の方法は、電話連絡のあとに「解約通知書(退去届)」を書面やWebフォームで提出する形が多く採用されています。口頭だけでは「言った・言わない」のトラブルになりやすいため、必ず書面やメールなど記録が残る形で提出しましょう。通知の際は、①物件名と部屋番号、②契約者名、③退去予定日、④退去立会いの希望日時、⑤敷金返還先の口座、⑥新住所と連絡先を伝えられるよう準備しておくとスムーズです。
なお、解約月の家賃が日割りになるか月割りになるかも契約書で決まっています。日割り対応の物件であれば、退去日を月末に合わせる必要はありません。月割り(1ヶ月分満額)の物件では、月の前半に退去すると家賃が無駄になりやすいため、退去日の設定に注意しましょう。
退去費用の相場と内訳|誰が何を負担するのか
退去費用の中心は「原状回復費用」です。ただし、原状回復とは部屋を入居時の状態に完全に戻すことではありません。2020年4月施行の改正民法621条で、借主は「通常の使用によって生じた損耗」と「経年変化」については原状回復義務を負わないことが明文化されています。国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」でも同じ考え方が示されています。
貸主負担と借主負担の区分
原状回復工事の単価目安
借主負担となった場合に、実際にどのくらいの費用がかかるのかの目安が下の表です。スム住むが原状回復工事で用いている税込単価の目安を掲載します。
経過年数と最小施工単位も費用を左右する
借主負担となる場合でも、全額を負担するとは限りません。ガイドラインでは設備ごとに経過年数が考慮され、たとえば壁紙(クロス)やクッションフロアは耐用年数6年とされ、6年経過すると残存価値は1円まで下がります。長く住んだ部屋ほど、借主の負担割合は小さくなるのが原則です。
また、負担範囲は「善管注意義務違反があった箇所を含む最小施工単位」(壁1面分など)が原則です。一部の汚損を理由に部屋全体の張替え費用を全額請求されるのは、不当なケースがあるとされています。費用の詳しい考え方は原状回復の費用相場と原状回復ガイドライン完全解説のページでも解説しています。
退去前チェックリスト|掃除・原状回復・手続き
退去日までに済ませておきたいことを、掃除・部屋の確認・手続きの3つに分けてリスト化しました。特に掃除は、放置すると善管注意義務違反と判断されやすい「水回りのカビ・水垢」「キッチンの油汚れ」を優先するのが効率的です。
掃除しておきたい箇所
- キッチン:コンロ周りの油汚れ、換気扇、シンクの水垢
- 浴室:カビ、水垢、排水口。ゴムパッキンのカビは特に見られやすい箇所です
- トイレ・洗面所:黄ばみ、水垢、排水口の汚れ
- エアコン:フィルターのホコリ取り(内部洗浄は無理に行わなくて構いません)
- 窓・サッシ:結露の跡、サッシ溝のホコリ。結露由来のカビは放置すると借主負担になり得ます
- 床・壁:ホコリと拭き掃除。飲みこぼしなどのシミは早めに対処
- ベランダ:ゴミ・土ボコリの掃き掃除
部屋の状態で確認しておきたいこと
- 壁の穴:画鋲の穴程度は通常損耗の範囲とされるのが原則。ネジ穴・下地まで達する穴は借主負担になり得ます
- 自分で取り付けた設備(棚・照明・ウォシュレット等)は取り外し、備え付け設備は元に戻す
- 入居時からあった傷・汚れは、入居時のチェックリストや写真を用意して立会いで示せるようにする
- 残置物ゼロの確認:家具・家電・ゴミを残すと処分費を請求されることがあります
手続き関係
- 電気・ガス・水道の停止連絡(ガスの閉栓は立会いが必要な場合あり)
- インターネット回線の解約・撤去手配
- 郵便局への転居届(転送サービス)
- 住民票の異動、運転免許証などの住所変更
- 粗大ごみの収集予約(退去直前は予約が埋まりやすいため早めに)
「どこまで掃除すべきか」「この傷は請求されるのか」が判断できない場合は、退去立会いの前に専門業者へ相談する方法もあります。スム住むでは見積無料で、お部屋の状態から負担区分の考え方をご案内しています。
退去立会いの注意点
退去立会いは、管理会社やオーナー(またはその委託業者)と一緒に室内の状態を確認し、原状回復費用の負担範囲をすり合わせる場です。退去費用が実質的にここで決まるため、退去の流れの中で最も重要なステップといえます。
立会いで押さえるべき4つのポイント
- 賃貸借契約書と入居時の記録を持参する:特約の内容や入居時からあった傷を、その場で示せるようにしておきます。
- 指摘された箇所は写真に残す:後日の精算書と突き合わせるための証拠になります。
- 負担区分の根拠を確認する:「この費用は通常損耗ではなく借主負担なのか」「経過年数は考慮されているか」を質問します。国土交通省のガイドラインでは通常損耗・経年劣化は貸主負担が原則です。
- 金額が示されない書面への即サインは慎重に:立会い当日に金額の内訳が確認できない場合は、「内容を確認してから回答します」と伝えて持ち帰るのが安全です。一度サインすると、後から覆すのが難しくなることがあります。
立会いの最後に、玄関・ポスト・スペアを含む全ての鍵を返却します。自分で複製した鍵も含めて返すのが原則です。鍵の返却をもって物件の明け渡しが完了し、以降は敷金精算の手続きに移ります。
なお、管理会社・オーナー側の立場では、立会いには損耗の判定と入居者への説明という専門性が求められます。スム住むは退去立会いの代行を原状回復工事とセットで完全無料(工事をご依頼いただく場合)で承っており、三者に透明性の高い退去プロセスをご提供しています。詳しくは退去立会代行 完全ガイドをご覧ください。
敷金精算の仕組みと返還の流れ
敷金については、改正民法622条の2でその定義と返還義務が明文化されました。賃貸借契約が終了して物件を返還したときに、未払賃料などを差し引いた残額が借主へ返還されるのがルールです。原状回復費用のうち借主負担分がある場合は、敷金から差し引かれて精算されるのが一般的です。
精算書で確認すべきポイント
- 差し引かれている項目が、立会いで確認・合意した内容と一致しているか
- 通常損耗・経年劣化にあたる項目(日焼けした壁紙の全面張替えなど)が含まれていないか
- 壁紙・クッションフロアなどで経過年数(耐用年数6年)が考慮されているか
- 施工範囲が最小施工単位(壁1面分など)を超えて広く計上されていないか
- ハウスクリーニング特約などの特約が、契約書に具体的に明記されたものか
特約は、負担する義務の内容が具体的に明記され、借主が通常の原状回復義務を超える負担を認識して合意している場合に有効とされています。契約書に記載のない費用を求められた場合は、根拠の説明を求めましょう。
精算内容に納得できない場合は、内訳明細の提示を求めたうえで、国土交通省のガイドラインをもとに交渉するのが基本です。それでも解決しない場合は、消費生活センターなどの相談窓口を利用する方法があります。精算書の見方やテンプレートは敷金精算書の書き方・テンプレートで、トラブル時の対処は原状回復トラブル対処法で詳しく解説しています。
よくある質問
Q. 退去の連絡(解約通知)はいつまでにすればよいですか?
契約書に定められた解約予告期間に従います。居住用の賃貸では1ヶ月前までの通知が一般的ですが、2ヶ月前と定められている物件もあります。通知が遅れるとその分の家賃が発生するため、引越しが決まったらまず契約書を確認し、早めに管理会社へ連絡することをおすすめします。
Q. 退去費用はどのくらいかかりますか?
部屋の広さと室内の損耗状況によって大きく変わります。国土交通省のガイドラインでは、経年劣化や通常損耗の回復費用は貸主負担が原則で、借主が負担するのはタバコのヤニや結露を放置してできたカビなど、故意・過失による損耗部分です。目安として、壁紙張替えは1㎡あたり800円〜1,200円、ハウスクリーニングはワンルーム〜1Kで25,000円〜35,000円程度です。
Q. 退去前に掃除をすれば費用は安くなりますか?
掃除で落ちる汚れであれば、借主負担と判断される箇所を減らせる可能性があります。特にキッチンの油汚れや浴室の水垢・カビは、放置すると善管注意義務違反と判断されやすい箇所です。ただし通常損耗や経年劣化はもともと貸主負担が原則のため、掃除の有無で変わるのは故意・過失に関わる部分に限られます。
まとめ|退去の不安はスム住むにご相談ください
賃貸退去は「①契約書を確認して1ヶ月前(物件により2ヶ月前)までに解約通知 → ②荷物搬出と掃除 → ③退去立会いで負担範囲を確認 → ④鍵を返却 → ⑤敷金精算書をチェック」という流れで進みます。ポイントは、解約通知を早めに出すこと、水回りを中心に掃除しておくこと、そして立会いで通常損耗・経年劣化と借主負担分をきちんと区別することの3つです。
スム住むは、関東7県(東京・神奈川・埼玉・千葉・群馬・茨城・栃木)全域で原状回復工事と退去立会代行を手がけ、年間9,787件の退去対応実績があります。原状回復工事をご依頼いただく場合は退去立会代行が完全無料。見積もりは無料・最短即日で対応しますので、管理会社・オーナー様はもちろん、入居者様からのご相談もお気軽にどうぞ。